『贈与税に時効はあるの?』
太郎さん
贈与税には“時効”があると聞いたのですが、実際にはどのような仕組みになっているのでしょうか。
たかこサン
はい。贈与税の時効は、原則6年です。ただし、故意に申告や納税を行わなかった場合は7年になります。ここで注意すべきことは、この6年や7年という期間は、贈与を受けた日から数えるのではなく、申告期限の翌日から数えるという点です。たとえば、令和3年7月に贈与を受けた場合、申告期限は令和4年3月15日ですで、その翌日の3月16日から起算します。したがって、時効は令和10年3月16日(故意の場合は令和11年3月16日)に成立することになります。
太郎さん
なるほど。贈与を受けた日から単純に6年というわけではないのですね。すると、思っている以上に長く税務署からの指摘を受ける可能性が残るということですか。
たかこサン
そのとおりです。時効が成立すれば徴収権は消滅しますが、実務上は“時効を待つ”という発想は極めて危険です。税務署は金融機関の入出金記録、不動産の登記情報、保険契約の履歴、さらには相続税申告の際の調査などを通じて贈与を把握します。ですから、たとえ何年も前の贈与であっても、調査で判明するケースは少なくありません。
期限内に申告していなかった場合には、“無申告加算税(5~30%)”が課されます。また、申告はしていても納付額が不足していた場合には“過少申告加算税(0~15%)”がかかります。さらに、意図的に財産を隠したり仮装を行った場合は“重加算税”が適用され、税率は35~50%と非常に高額です。加えて延滞税も必ず課されますので、結果的に大きな負担を背負うことになってしまいます。
太郎さん
それほどの負担になるのですね。では、すでに期限を過ぎてしまった人は、どう対応すればよいのでしょうか。
たかこサン
その場合は、たとえ期限を過ぎていても“期限後申告”を自主的に行うことが最も重要です。自主的に申告すれば、加算税が軽減される場合がありますし、調査で発覚する前に対応しておくことで“悪質な隠蔽”と評価されるリスクを下げることができます。逆に放置してしまうと、時効に至る前に調査が入り、最も重い重加算税の対象となる危険性が高まります。
太郎さん
つまり、贈与税に時効は存在するものの、それをあてにするのは極めて危険で、期限を過ぎていても自主的に申告したほうがはるかに安全ということですね。
たかこサン
まさにその通りです。贈与税は相続対策と密接に関係する税目ですから、“正しく申告する”という姿勢が将来の相続手続の円滑化にもつながります。税務署の情報収集力は高いので、“バレないだろう”という発想は通用しないと考えた方がよいでしょう。贈与を受けたら期限内に申告し、万一遅れてしまっても速やかに申告することが、余計なペナルティを避ける最善の方法なのです。















































