『相続放棄をするとどうなるの?』
Aさん
親族が亡くなり、遠縁ですが私も法定相続人にあたるようです。他の相続人の方々との面識もありませんし、私の相続分もわずかのようですので、相続放棄したいと思います。相続放棄をするとどうなるのですか?
たかこサン
相続放棄には、大きく2つの方法があります。
1つは、Aさん以外の方が財産を取得する内容の「遺産分割協議書」に署名捺印する方法です。これは「自分はこの遺産を受け取らないことに同意します」という意思表示にあたります。ただし、この場合も法律上は相続人の立場を失うわけではありません。
もう1つは、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出して行う正式な相続放棄です。こちらは法律上、はじめから相続人でなかったものと扱われます。
今回はこの正式な相続放棄について説明しますね。
相続放棄をすると、遺産を一切相続できなくなり、遺産分割協議などの手続きにも原則関与する必要がなくなります。ただし、亡くなった方の生命保険金で、Aさんが受取人に指定されている場合は受け取ることができます。生命保険金は遺産ではなく、受取人の固有財産だからです。
Aさん
ありがとうございます。私が相続放棄すると、相続権は私の子供に移るのでしょうか?
たかこサン
いいえ、Aさんのお子さんに相続権が移ることはありません。
相続放棄をすると、はじめから相続人でなかったものと扱われるため、その相続分は他の相続人に分配されます。もし他に相続人がいなければ、次の順位(例えば兄弟姉妹)が相続人となります。さらに次順位の相続人もいない場合は「相続人不存在」となり、家庭裁判所の手続きを経て、特別縁故者(生前に被相続人を介護した人や生活を共にしていた人など、特別な関わりがあった人)への財産分与が行われることもあります。最終的に誰も財産を受け取る人がいなければ、その遺産は国庫に帰属(国のものになること)します。
なお、相続放棄には期限があり、「相続開始を知ったときから3か月以内」に家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。迷っている場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。