『任意後見と遺言だけでは足りない?おひとりさまの死後事務対策』
太郎さん
先日、おひとりさま向けのセミナーを受けて、生前対策をきちんとしておいた方がいいと思うようになりました。まずは任意後見契約と遺言書を作成しようと考えています。
たかこサン
とても良いきっかけですね。最近は早めに備えようとされる方が増えています。ただ、実務の現場では『任意後見契約と遺言書は作っていたのに、亡くなった後に対応できないことが多かった』という声を聞くことも少なくありません。実は、この二つの制度だけでは対応できない“すき間”があるのです。
太郎さん
その“すき間”というのは、具体的にどのようなことなのでしょうか。
たかこサン
任意後見契約は判断能力が低下した後の財産管理や生活支援が中心で、遺言書は亡くなった後の財産の承継を定めるものです。一方で、亡くなった直後から相続手続が本格化するまでの間に発生する事務、いわゆる死後事務については、どちらの制度でも直接カバーできません。例えば、次のような手続きです。
・ 葬儀・火葬・納骨の手配
・ 病院や介護施設の費用精算
・ 賃貸住宅の解約、家財道具の整理・処分
・ 電気・水道・携帯電話等の各種契約の解約
・ SNSやサブスクリプションなどデジタル情報の整理
・ ペットの引き取りや世話の引継ぎ
これらは相続人が当然に行うものと思われがちですが、実は法的な義務ではなく、引き受け手がいなければ手続きが滞ってしまいます。
特におひとりさまの場合、親族が遠方にいたり、負担をかけたくないと考えたりするケースも多く、事前の備えがないと周囲が困ってしまうこともあります。
そこで有効なのが死後事務委任契約です。生前のうちに、誰に・どの範囲まで死後事務を任せるのかを契約で明確にしておくことで、任意後見契約と遺言書では対応できない部分を補うことができます。
任意後見契約・遺言・死後事務委任契約の三つの制度を組み合わせて設計することで、判断能力があるうちから死亡後まで切れ目のない安心につながります。具体的な内容は生活状況や価値観によって異なりますので、専門家に相談して進めると安心です。















































