『すでに遺言書を書いた方も要チェック!“遺言執行者”のすすめ』
Aさん
遺言書を作ろうと思っているのですが、「遺言執行者」は必要ですか?家族に任せればいいかなと思っているのですが…
たかこサン
遺言執行者は、遺言の内容を実現する役目を担う人のことです。財産の名義変更や預貯金の解約、相続人への分配といった重要な手続きを進めます。ここで、遺言執行者が“いる場合”と“いない場合”で、相続手続きの流れが大きく変わるので、ご説明しますね。
<遺言執行者の指定がある場合>
遺言書に「遺言執行者」が指定されていれば、その人物が手続きを単独で進めることができます。
相続人の同意や印鑑を全員分そろえる必要がないため、相続人間の連絡が難しい場合や、意見が食い違いそうな場合でも、比較的スムーズに遺言の内容を実現できます。
特に「特定の人に特定の財産を渡したい」という明確な意図がある遺言では、執行者の指定は極めて有効です。
<遺言執行者の指定がない場合>
遺言書に執行者の記載がない場合、相続人全員の合意がないと手続きが進みません。
たとえば、相続人以外への遺贈による不動産の名義変更や預金の払い戻しを行うには、相続人全員の署名や実印、印鑑証明書が必要になります。相続人のうち誰か一人でも協力しない場合、手続きが進まず、遺言の内容が実現できなくなってしまうリスクがあるのです。
こうした場合には、家庭裁判所に「遺言執行者の選任申立」を行うことが可能です。
ただし、申立には手続きや時間、費用がかかりますので、生前にご自身で信頼できる人を指定しておく方が手間もリスクも少なく済みます。
Aさん
なるほど…。家族の負担も減るし、自分の遺志もスムーズに実現できるということですね。
たかこサン
そのとおりです。
遺言執行者は、相続人の中から選ぶこともできますし、私たちのような専門家に依頼することも可能です。相続人の負担を減らし、ご自身の想いを確実に実現するためにも、遺言執行者の指定をぜひご検討いただくことをおすすめします。
すでに遺言書を作成されている方も、今一度ご自身の遺言書を見直してみてください。内容が古くなっていたり、遺言執行者が指定されていないケースは意外と多くあります。遺言の“内容”だけでなく、“実現する仕組み”が整っているかどうかが大切です。