『自筆証書遺言の失敗事例』
Aさん
遺言書の作成を検討しています。数年前に法務局での遺言書保管制度も始まったので自分で書いてみようと思っていますが、気を付けた方が良いことはありますか?
たかこサン
ご自身でかかれた自筆証書遺言には、不備があるケースが非常に多いのが現状です。
また、自筆証書遺言を作成されて法務局での遺言書保管制度を利用する場合は、遺言書が形式上の要件を満たしていることの確認のみで、遺言内容についての相談や確認をしてもらうことはできませんので注意が必要です。
自筆証書遺言に不備があった例には以下のようなものがあります。
①遺言書に記載されている財産に漏れがある
遺言書に記載のない財産については、遺言の効力が及ばないため、ご相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。遺産分割協議がスムーズに進めば問題はありませんが、お話し合いがまとまらずに争いに発展してしまうケースもあります。
②財産を相続するはずの方が、先にお亡くなりになっていた
この場合は、相続する方がいないためにその部分の遺言が無効になってしまい、ご相続人全員での遺産分割協議が必要となります。
③ご相続人へ不動産を「遺贈する」と記載されている
「相続させる」と記載されていれば、不動産を取得するご相続人様が単独で相続登記を進めることができますが、「遺贈する」と記載されていた場合は不動産を取得するご相続人様と相続人全員(遺言執行者が指定されている場合は遺言執行者)が共同で相続登記を申請する必要があり、お手続きが煩雑になってしまったり、名義変更が困難になってしまったりするケースもあります。
④ご相続人へ財産を「託す」と記載されている
「託す」や「任せる」という表現は、財産をあげたいのか管理だけを任せたいのか、遺言者の意図が明確に判断できないため、遺言書を使ってご相続手続きを進めることができない可能性があります。
お亡くなりになった方が遺言書を遺されていても、その遺言書どおりにお手続きを進めることができなければ、お亡くなりになった方の遺志とは異なる結果になる可能性も考えられます。
遺言書の作成を検討されている方は、ご自身の遺志を確実に実現させるためにも、事前に専門家へご相談されることをおすすめします。